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　今街で見かけるクルマのほとんどは、横置きエンジンで前輪を駆動させる小型車です。
　あまりにあたりまえ、あまりに基本的なレイアウト。
　でも、ほんの３０年前には、そうじゃなかった。ほとんどの乗用車は後輪を駆動して走っていた。

　それより前の1958年にモーリスミニは生まれました。２１世紀に走る車とほとんど変わらない レイアウトと性能を備えて。

　革新的なこのクルマの誕生を書き記したのが『ミニ・ストーリー』です。
　『ミニ・ストーリー』はクルマの解説書にとどまらず、デザインの教科書であり、 ノンフィクションの古典ともいえる本です。

　全長わずか３ｍの枠内に４人のおとなを楽に乗せなければいけないとしたら、 もはやそこにはしゃれたスタイリングの入りこむ余地はない、だがイシゴニスに とっては、"流行というのは醜悪さの一形態であり、あまりの醜悪さに６ヶ月に１ 度は変えなければならぬほどだ"というオスカー・ワイルドの警句と一致するような ボディ・スタイルを描き出すことが、楽しみでもあり必然でもあった。イシゴニス の考えでは、車が立派にその務めを果たし続ける限りは、たとえ６年たっても 変更すべき理由はない。

　エンジン／トランスミッションおよびペダル類はすべて前輪ハウス内に収まり、 いっぽう後部のトランクもほとんど後輪ハウス内にまとまっている。その結果、 乗客のためのスペースはホイールベースいっぱいにとることができたほか、 オーバーハングの少ない、ホイールをボディの四隅に置いた配置によって、 比類ない安定性が実現された。ホイールベース2.03ｍ、全長3.05ｍ。

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